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高田のクラスは、すぐ隣だった。
行ってみると、ボクらのクラスと同じようにあちこちで人がダマになっていて、そしてまたボクらのクラスと同じように女子がうるさかった。
ざっと見回した限り、高田はいない。
「いねぇな……」
ボクの呟きが聞こえたのかどうかは分からないけれど、中にいた友華が目を見開く。戸口から覗くボクたちを見て、笑顔で片手を上げる。友華は教室の真ん中の辺りの席に、ポツンと座っている。
友華はボクらと同じ中学出身の女子の一人で、ボクたちと仲が良かった。どっちかと言うと美樹になついていて、ヨロシクやってるボクと美樹のペアに友華がくっついて来ると言う感じが、ボクら三人の付き合いのスタイルだった。
席を立ち、友華がボクたちの方へとやって来る。
「おっす」
美樹が友華のお腹に軽くパンチをお見舞いすると、友華は眉根を大きく寄せて
「もぅ、参っちゃうよ」
大げさに苦笑いをした。
「何が」
ボクが訊くと
「周り知らん奴ばっかでさぁ。いいなぁ、美樹と葉月は一緒なんでしょ?」
「えー? いいじゃん。友華は高田と一緒じゃん」
「良くないよ。私、高田苦手だし」
そりゃ勿体ない、とは思うけれど、女子で話せる人が一人もいない教室に放り込まれた友華の辛さも、分からなくはなかった。
これからの一ヶ月ぐらい、友華はクラスの中で話す人を作るのに躍起にならないといけない訳だ。好きでもないテレビ番組を観て話題を作ったり、付き合いで誰かの悪口言ったり、バカみたいにはしゃいで寒い人になりきったりしていかないと、クラスの中で孤立してしまう。
ボクには美樹がいる。それはとてもラッキーな事だった。いつものように二人でバカ話でもしながら、どこか適当なグループへ馴染んでしまえばいい。
「……あ、なんかこのクラス替えの様子って、とても良くわかります! あたしは女子校ですけれど……。ところで、これって、高田さんより美樹さんの方が5点分、ランクが上って事ですよね。」 |
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