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また、少し歩く。
また、橋がある。島へと直接に繋がる橋ではなくて、海へと注ぐ川の河口に掛けられた橋。
その橋を渡って、川の向こうへ行く。
川を渡る橋の左手に、江ノ島が見える。
河口だかもはや海だか分からない領域や、ずばり橋の真下なんかには、船が浮いている。ボートと、小型の漁船っぽいものと。漁師の人が使うものなのだろう。
川は海へと注ぎ込まれているはずなのに、水は海から川の方へとゆっくり向かって来ているように見える。海と川とがごっちゃになっているような地域では、流れも気分次第なのかもしれない。
右手はやっぱり車道だ。今度は幅が広くなって二車線になっている。バイクとか車が、ちょこちょこと行き交っているけれど、東京の車道ほどにはスピードは出していない。ちょこちょこと言っても、東京で言うちょこちょことはイメージが違って、これはもう、まばらと言った方がいいのかもしれない。
川向こうへ辿り着き、少し歩き、それから左、海側に曲がる。松だかなんだかの小さな林っぽい木々の間の舗装された道を通って、そこを抜けた先が少しひらけていた。白っぽいコンクリートのテーブルの上に、二階建ての建物があった。二階建て、というよりも一回部分の屋上にもうひとつ小さな建物を建て増した感じだ。どこか落ち着いた感じで、レンガづくりではないけれどイメージ的にヨーロッパっぽい感じがする。
「はい。着きました。おつかれ」
みささんが言う。
入り口と思しきドアがあって、その上に看板らしきものがかけられていた。
「Trattoria」と小さく書かれてた下に大きく書かれているのが店の名前なんだろう。「Trattoria」がなんだかは分からないけれど英語ではないっぽい。
店の名前とおぼしき文字は「Junior Sweet」。これは英語だ。高校一年生のボクでも解読できる。してみよう。
Junior……子供。
Sweet……甘い。
「甘い子供」……。
「スィートな子供」……。
「子供的な甘さ」……。
「子供はスィート」
……ロ、ロリコン?
ボクは15歳である。
未経験である。
なにかこう、身の危険という奴をひしひしと感じずにはいられなかった。
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拓海のひとこと「え、えっとその……あ、あたしはデ、デデ、デリヘルとかソーぉプランドとか良く、分かんないので、えっと、そ、そそそそそ、その……でも、うちはそういう店ではないですっ、ハイっ!」
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